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14話 ミスリル盾を貫通したレイニーの魔法

Author: みみっく
last update Last Updated: 2025-10-22 12:33:57

 ガードナーはその光景を見て、心の中で驚きと緊張が入り混じる感情を抱いた。

『まさか、ここまでの威力を持つとは…。レイニー様はただ者ではない。これほどの魔力を制御しきれる者など見たことがない』

 彼の心は、驚きと共にレイニーへの信頼と期待が一層強まっていった。

『この若さでこれほどの力を持ち、それを自在に操ることができるとは…。レイニー様がどこまで成長するのか、私も楽しみだ。すでに、この私をはるかに超える技術、魔力量に威力だな』

 ガードナーは深く息を吸い込み、再び平常心を取り戻すとレイニーに向き直った。

「素晴らしい、レイニー様。この調子で技術を磨き、さらなる高みを目指してください。あなたの才能は無限だが、練習場所に気をつけてください。何度も言いますが、他の者に見つかっては騒ぎになりますので……」

 ガードナーの表情には、心からの尊敬と期待が込められていた。その眼差しは、未来に向けての希望と信頼を象徴していた。

♢兵士との訓練

 その日は朝から、屋外の練習場で兵士たちに混ざって魔法の訓練に励んでいた。魔法の射撃訓練は一人でもできるため、訓練場の片隅で実践的な訓練を積んでいた。相手は上級兵士で、剣の腕も一流、さらに魔法も使いこなすという強者だ。彼は主に剣技を繰り出し、補助的に魔法を放ってくる、厄介な相手だった。

 最近では、その強者が率いる小隊のメンバーも訓練に参加してくれるようになっていた。

「小隊長、一人だけ訓練してるなんてずるいですよ! しかも……レイニー様となんて! 出世する気が満々ってバレバレですよー!」

 そんな賑やかな声が飛んでくる。レイニーは内心で苦笑した。「いや、俺に気に入られても出世はできないだろ……第三王子だし、軍の構成に口出しできるわけないじゃん」とは思うものの、彼らがからかい半分で言っているのは理解できた。

「お前ら参加するなら、ふざけてないで真面目にやれよ! ケガするぞ! ケガをしたら収入が絶たれて嫁や彼女に捨てられるぞ〜」

 小隊長の厳しい声が響き渡ると、たちまち全員の顔つきが真剣になる。さすが小隊長、言葉の選び方を知っている。この世界では、前世のような「労災保険」などなく、一度ケガで使い物にならなくなれば解雇が当たり前だ。英雄級の人物なら話は別だろうが、一般の兵士にとっては死活問題なのだ。

♢突然のチーム戦提案

「チーム戦をしませんか?」

 不意の提案に、レイニーは首を傾げた。「ん? チーム戦かぁ……珍しいね」いつもと違う、どこか緊張した雰囲気が漂っている。皆がソワソワしているように見えた。

 レイニーは不思議に思い、小隊長に顔を近づけて尋ねた。

「どうしたの?」

 小隊長は顔をしかめ、レイニーの視線を遮るように言った。

「どうしたの?じゃないですよ……誰です? あの……貴族か王族のお嬢様は……先程から、こちらを見ていますけど?」

 小隊長の言葉に促され見学席の方を見ると、そこに立つのはフィーだった。レイニーは目を瞬かせた。「あれ? 今日はルナが相手をするって言ってたよな……。こんな所にいて良いのか?」軍事関係の施設は機密事項が多いはずだ。たとえ友好国の王女様とはいえ、関係者以外は立ち入り禁止だろうに。

 もしかしたら友好国だから、特別に許可が出たのだろうか? 自分には関係ないことかもしれないし、自分が気づいたと分かると面倒になりそうだ。関わらないでおこう。

「小隊長こそ、周りに気を取られてないで、真面目にお願いしますよ〜♪」

 レイニーはそう言って、腰に帯びていた剣を抜き、構えを取った。その剣は、木刀ではなく本物だ。

「わ、ちょ、ちょっと待ってください! チーム分けできてないですよ! ……それに、それ、真剣ですよね? 木刀に変えてください!!」

 小隊長から鋭いツッコミが入った。

♢圧倒的な実力

 急遽、五対五の模擬戦が始まった。新人の俺は、開始早々、敵側の三人に集中攻撃を仕掛けられた。敵の一人が、空気を切り裂くような鋭い斬撃を繰り出し、まっすぐに俺へと向かってくる。レイニーは半歩横に移動し、その刃を紙一重で避けると、同時に相手の脇腹へ力強い拳を叩き込んだ。衝撃が相手の体を貫き、その一撃で男は意識を失い、地面に倒れ込んだ。

 その瞬間を狙っていた二人の敵が、同時に剣を振り上げて斬りかかってきた。レイニーは迷わず跳躍し、空中で一回転することで彼らの視界から完全に姿を消す。背後に着地すると、相手の隙を突いて迅速に接近し、手に持った木刀で、トン、トンと軽やかに彼らの頭を叩いた。彼らは驚愕に目を見開いたが、自らの敗北を認め、静かに訓練場を後にするしかなかった。

 残りの二人は、すでに味方の四人によって圧倒されており、レイニーが加わるまでもなく圧勝だった。うぅ〜ん……やり過ぎたかな。でも……勝てば嬉しい!

「お前ら……王子様だからと手を抜いていたんじゃないのか? もっと真剣にやったらどうだ!?」

 審判役を務めていた小隊長が、不満げな顔で注意を促した。

「小隊長……レイニー様の実力を知ってるでしょ……。本気で掛かっても当たらないし、五人がかりでもムリですよ……」

 兵士の一人が、疲れた顔でぼやいた。

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